ミステリーホラーRPG「僕」

はじめに

あ、どうも。お久しぶりです。なかなかに遅れましたが明けましておめでとうございました。僕はこの1年間、「RPG」のことばかり考えてました。気づいたら卒業です。早すぎて意味がわかんないです。今回のブログは、卒業論文に取り組むにあたり制作した「RPG」について記事を書こうかな、みたいな感じです。よろしくお願いします。

卒業論文タイトル

価値観の多様性を学習する教材の開発と効果に関する研究-ミステリーホラーRPG「僕」の開発と実践を通じて-

研究の背景と目的

人は「目に見えない事象」に対し、回避・排除行動を取ることがあり、その行動が社会問題に発展するケースも存在します。

例えば新型コロナウイルス感染症を例にとると、罹患・感染しているか不確かな状況下において他者の行動に対する非難や、医療従事者への風評被害などが挙げられます。こうした「目に見えない事象に対する回避・排除行動」は社会において困難を乗り越えるための人と人のつながりを分断し、人々の協調行動を阻害する要因となっており、このような問題を解決する機会の創出や仕組みづくりが必要だと考えました。

これらの問題解決にあたり、当該回避・排除行動の構造について整理してみると、非難する側の人間は個人の主観で物事を判断した結果に基づいて非難し、非難される側の人間もまた主観で判断し自身の状況を主張する対立構造となっています。

両者の共通点は「事実に基づいた根拠を示していない議論に参加」していることであり、この議論こそが当該行動の原因の1つであると推察されます。

具体的には、新型コロナウイルスの感染をめぐる対立においては、「PCR検査結果が陰性であることを証明書付きで提示」すれば事実が目に見えることとなり、複数人でも検査結果に基づいた議論が成立し、対立構造ではなく協調行動に発展しやすい状況を創出しやすいと考えます。

一方で「罹患しているかどうか」については「目に見えないもの」であるため根拠となる事実がなく、「罹患している可能性」も「罹患していない可能性」も両者が共存する不確実性を有するため、議論に参加する個々人の立場から解釈を互いに押し付けあう構図が成立しやすく協調行動が阻害されやすいと考えられます。

上述した構造を鑑みた場合、敢えて「目に見えないもの」を題材とし、価値観の多様性を学習する機会を創出可能な学習教材を開発することができれば、問題解決の一助となる場の形成が可能になるのではないかと考え、本研究では価値観の多様性を学習する機会を創出可能な教材を開発し、その学習効果や利用者の意識に及ぼす影響を明らかにすることを目的として研究を進めました。

ミステリーホラーRPG「僕」の開発

　価値観の多様性を学習する機会を創出可能な教材を造るにあたり、研究室で推奨されている「好きをかたちに」に基づき私が好んでプレイしているRPG(ロールプレイングゲーム)を制作する方針としました。

利用者にとって登場人物のプロファイリングが不明瞭な状況になるよう徹底してストーリーを制作しました。エンディングについては全てバッドエンディングとなっており、その理由として、利用者に真剣に没入感を感じてもらいながら登場人物とのつながりを試行錯誤する状況を創出するため、可能な限り「現実に近づける」意図に基づいてトゥルーエンドを設定しハッピーエンドは設計対象から除外しました。

内容については、「主人公は『二重人格』の自覚者であり、目に見えず証明することが困難な二重人格を、周りに受け入れてもらうために行動する話」となっており、本作品を通じて価値観の多様性を学習することを狙いとしています。

スタート画面

プレイ画面1

プレイ画面2

エンド画面

制作を通じて

ものを造ることを学ぶ大学に入って「かたちにする」ことの難しさを十分に理解していたはずでしたが、今回の制作で改めて感じました。

ストーリーを考えたり、イラストを描いたり、音を作ったり、などの数多くの工程が存在し、名作と呼ばれるものには多大な労力がかかっているんだと思いました。

今までいろいろな「RPG」をプレイしてきましたが、今後ほかの「RPG」をプレイする際には、制作を行った側としての視点でさらにプレイする際の楽しみが増えるんだと考えると楽しみで仕方ないです。そして、次はもっと時間を使って面白い作品を造りたいと感じました。また今回制作したRPGを皆さんに体験していただくために、ゲームデータを配布させていただきます。下記にゲームデータのダウンロード・開始までの手順を記載させていただきます。