制作のねらい
新潟県内におけるクマの目撃情報・痕跡情報を集計・表示するマップを制作しました。
2020年はクマのエサとなるブナが全県で不作となっており、クマがエサを求めて人里近くの里山や住宅地付近に出没していることからクマ被害が相次いでいます。
新潟県でもクマ出没特別警報が出されており(2021/1/15まで)、昨年度の12月におけるデータを見ても数十件の目撃情報があり、引き続き注意喚起を広く促す必要があると考えました。
こうした現状から、建築・環境デザイン学科助教の福本塁と同学科3年東海林和代さんが、デザインの視点から、新潟県の公開情報に基づき、情報を集約するサイトを制作しました。
12月に入っても県内では人身事故が起きており、みなさまには引き続き注意頂く際の参考にいただければ幸いです。
データ出典元は新潟県となります。
最新版のマップについては下記リンクよりご覧ください。
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進撃のクマ
操作方法
制作のきっかけ
進撃のクマ(新潟県クマ出没マップ)は2019年度建築・環境CG実習Ⅰ(授業担当:高木秀太先生・佐々木 雅宏先生・北雄介先生・福本塁)の履修学生であった東海林和代さんがデータビジュアライゼーションの課題として「目撃!うちらのマチのクマ情報」を発案・制作したことがきっかけとなっています。
当時の課題制作について以下のように振り返っています。
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[say name=”福本先生” img=”https://fkmt-lab.jp/wp-content/uploads/2019/10/ruifukumoto2.jpg” from=”right”]「目撃!うちらのマチのクマ情報」のポスターをどのような問題意識で作成したのか教えてもらっても良いですか?[/say]
[say name=”東海林さん” img=”https://fkmt-lab.jp/wp-content/uploads/2020/12/toukairin-1.jpg”]このポスターは⻑岡市がHP で発信している「ながおか便利地図」の〈クマ出没マップ(2019年6 ⽉時点)〉を参考に作りました。この便利地図は主に“出没場所がわかる“ように作られているようでした。しかし私にとっては、実際どれくらいの出没情報がどの地域で出ているのかがかなりわかりにくいように思いました。バイト先に栃尾から通っている⼈がいたのもあり少し関⼼があったので、⼀枚のポスターにして私のように⽇常的にクマに縁がなさそうなところに住んでいる⼈でも⼀⽬でわかるように制作してみようというのがきっかけでした。[/say]
[say name=”福本先生” img=”https://fkmt-lab.jp/wp-content/uploads/2019/10/ruifukumoto2.jpg” from=”right”]なるほど。制作を通じて東海林さんがなにか発⾒したことはありますか?[/say]
[say name=”東海林さん” img=”https://fkmt-lab.jp/wp-content/uploads/2020/12/toukairin-1.jpg”]「出没件数=クマの⽣息数ではない」ということです。件数が多い地区はもちろん警戒の度合いが強いですが、その場合「同じ⽇、近い時間、近い場所」での⽬撃情報が重なっているケースもありました。だからこそ数にとらわれずに⼀件でも⽬撃情報があれば、近くにクマがいるかもしれないということを警戒しなくてはいけないと感じました。[/say]
[say name=”福本先生” img=”https://fkmt-lab.jp/wp-content/uploads/2019/10/ruifukumoto2.jpg” from=”right”]それはとても大切ですね。ポスターの中でも「12月にクマが出没している」ことが読み取れ、警戒を強める必要があるということが伝わりますね。また、知人の方についてもクマが出没しやすい時間帯を避けてシフトを組んでいるとお話されてましたね。ちなみにマップをどのように役⽴ててほしいと考えていますか?」[/say]
[say name=”東海林さん” img=”https://fkmt-lab.jp/wp-content/uploads/2020/12/toukairin-1.jpg”]「⼀⽬でわかる」のがポスターのいいところです。今回はクマの恐ろしさよりも、⽬に留めて⾒てもらえる読んでもらえるように少しポップな印象に作りました。⼩学⽣などにも興味を持ってもらいやすいと思います。今年の最新情報を追加して、来年、市⺠の皆さんに⾒ていただけたら今年の被害を思い出していただけるんじゃないかと思います。今年のクマ被害を⾒ていて、実被害が出る前にどれくらいの⼈々がクマを警戒していたのかというところが気になりました。⼈⾝被害が出てから注⽬されたのではないかという懸念があります。こうした事前の情報発信をすることは、被害を未然に最⼩限に防ぐことに役⽴つと思います。[/say]
[sen]
制作された内容は担当教員一同より高く評価され、長岡市危機管理防災本部等にも共有されましたが、単年度のみの情報となっていたため、公表の継続性が見込めない展に課題がありました。
進撃のクマ(新潟県クマ出没マップ)の開発時には「メンテナンス性」を踏まえて可視化するよう設計しました。
本件について建築・環境CG実習Ⅰをご担当頂いていた高木先生より、以下のようなコメントを頂いております。
引き続き、ポップなコンテンツで真剣にクマの被害を防ぐ学習機会の提供に尽力できればと考えております。
人間とクマ、お互いの生活を守るためにも本コンテンツを通じて理解を深めるきっかけづくりに活用頂ければ幸いです。