農作業お手伝いボランティア

はじめに

はじめまして、菊地です。
私は、福島県の農産物の風評被害について研究をしています。

2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震が発生、福島原子力発電所事故から8年経った今、福島の内陸部である中通りでそだった私は浜通りの当時の様子や現状がつかめていませんでした。そこで、私は福島の現状を知るために昨年11月に日本財団学生ボランティアセンター主催の「ながぐつ」プロジェクトに参加してきました。

「ながぐつ」プロジェクト

日本財団学生ボランティアセンターGakuvoでは、東日本大震災を受けて学生ボランティア派遣チーム【チーム「ながぐつ」プロジェクト】を立ち上げ、2011年4月から2018年3月末までに、延べ11,293名の学生ボランティアを派遣してきました。現在は、地震・津波に加え、原発事故と向き合う福島県を主なフィールドとして、活動を行っています。
出典「日本財団学生ボランティアセンターGakvo」

ボランティア活動行程

私が参加したボランティアの活動行程は以下になります。

ボランティア活動行程
    1日目
  • 東京集合
  • いわき市へ移動

    2日目
  • 長源寺 座禅体験
  • ゆうゆうファーム 農作業お手伝い

    3日目
  • 視察(〜富岡町・楢葉町・久之浜〜)

長源寺 座禅体験

副住職の栗山さんに僧侶としての立場で震災当時のお話を聞きました。

栗山さんは震災後しばらくはボランティアをしていたそうです。避難所を周り、避難者の不安な気持ちや不満など話を聞いて周った話をしていただきました。怒鳴ってくる避難者もいて県外から来たボランティアでは心が折れてしまう人も多いが、和尚として地元の人間としての立場を生かし気を許してもらいニーズを聞き出したそうです。


座禅体験中

また、私たちは15分間の座禅を体験させていただきました。

当時、避難所には溢れるほどの人が避難してきており、個人のスペースもかなり狭い上、すぐ隣のスペースには他人が寝ているといった状況で、夜は動くことすら憚られ苦痛を感じていたそうです。

ここで、仏教には”同事”という考え方があり、相手の気持ちになることを意味する言葉があります。100%理解することは不可能ですが近づいていく努力は大切であるということを学びました。

本来の座禅は無心になることを目標に行うのですが、今回は避難所での動けない苦しみを体験する、避難者に対しての同事を目的として座禅を組みました。たった15分でしたが、足がしびれ次第に感覚がなくなっていきました。

時間が決まっていることがわかっていたため気持ちはまだ楽でしたがこの動けない状況がずっと続くと思うとかなりしんどいと感じました。


ゆうゆうファーム 農作業お手伝い


農作業お手伝いの様子

日本では珍しい”フェイジョア”という果物を主に生産している農家さんのお手伝いをしました。

今回はフェイジョアを風から守るためのビニールハウス建てとフェイジョアの収穫をお手伝いしました。
このビニールハウス建てがかなりの力仕事で、帰る頃には腕も足もパンパンでした。
足を引っ張ってしまうことがあり申し訳なさもありましたが、本気で向き合ったことで農家さんとも少し打ち解けたのではないかと思いました。被災地の人とのコミュニケーションもボランティアの役割の一つであることを実感しました。

視察

避難指示が解除された富岡町から南下し久之浜まで視察しました。

富岡駅


富岡駅

駅が建て直され、復興が進んでいるのを感じましたが、周囲にはやはり津波の跡が残っていました。


夜ノ森駅


夜ノ森駅

ツツジの名所でしたが、根に放射線をため込む性質があるため全て伐採されてしまいました。


避難区域の線引き

細い道一本で避難区域が線引きされていました。避難解除された地域は補償金は停止され、また帰ってくることは可能ですが、生活環境が整わず帰るに帰れない状況が続いています。


楢葉町 天神岬公園


楢葉町 天神岬公園

一度は津波で流されてしまいましたがすでに戻ってきて生活している人がいます。しかし、買い物先や病院などが少なく不便さが残ったまま。


久之浜


久之浜

復興や利便性向上のための商業施設があり、復興が進んでいました。
防災緑地の計画も進められています。


おわりに

今回、ボランティアに参加したことで、被災地に住み、生活している人々の気持ちに触れることができたとおもいます。

しかしそれは、ほんの一部の人にすぎず、この状況をよりよくするにはあまりに大きく難しい問題であると感じさせられました。震災から8年が経ち、被災地への関心も薄れてきていると思いますが、少しでも多くの人に今の被災地の状況に関心を持ってもらえれば幸いです。