
プロローグ
皆さんはミニチュア模型を見たことありますか? ドールハウスだったり、博物館のジオラマだったり、どこかで一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。 「小人サイズの家具や食器にロマンを感じる」といった方もきっと少なくないはずです。 私もそんなミニチュアの魔力に惹かれた人間の一人でした。 実際好きが高じて、フェイクフードと呼ばれる親指サイズ程の食べ物のミニチュア作りに熱中していた時期もあったほどです。 ミニチュア化する題材はパンケーキだったりお寿司だったり、家に置いてある折りたたみ椅子だったり、至って平凡でどこにでもあるものばかり。 しかしながら、いつも見慣れているものであるからこそ、それが親指ほどに小さくなって現れた途端、可愛らしくそれでいてどこか非日常的な魅力を感じさせます。 私はそんなミニチュアの魅力を『人と場所を繋ぐデザイン』に活かせないだろうかとふと考えるようになりました。
寺泊 竹森地区:稲荷大明神のミニチュア化
実験を行うにあたり、まずはミニチュア化する場所を決定しなければなりません。 ということで手始めに、拠点である駄菓子屋ハブ周辺を見て回ることにしました。 駄菓子屋ハブは寺泊の竹森地区という場所にあり、あたりには古い商店街の街並みが続いています。また近くには踏切もあり、現在は使われていない線路がそのまま残っているなど、どことなくノスタルジックな印象を受ける場所です。 駄菓子屋ハブの周囲をぐるっと見て回ったところで、ハブの裏手に人気のない神社を見つけました。敷地の様子をうかがってみると、風化した鳥居に苔むした井戸、両脇に鎮座しているお狐様など、なかなかに良い雰囲気です。 どことなく妖しげな雰囲気がとても気に入り、この場所をミニチュア化してみようと思い立ちました。




