ことの発端
夕食の準備をしていたとき、スーパーで購入した揚げ物をオーブントースターで温めようとしたところ、揚げ物から発火した。火自体は小さく、オーブンの中でのことなのですぐ消えるかと思ったが、なかなか消えない。煙が蓋から徐々にもれはじめ、「これは消さないとだ。」と思い、水が入った容器を持って蓋を開けた。しかし、酸素が供給されたために火は勢いを増し、慌てて蓋を閉じてからその隙間から水を流して何とか鎮火した。
消火器を使わなかった理由
アパートにはもちろん消火器は設置されている。1階と2階の外廊下に1本ずつ配置されており、ぼやを起こしたときに使用しようと考えもしたが、結局使用するまでには至らなかった。
火の勢いが消火器を使用するまでもないと判断していたかもしれないが、主な理由は消火器が使用できるものなのかが分からなかったからである。
消火器の状態
ぼやから数日して、ゼミの発表のために消火器の状態を調べてみた。
製造年などが表記してある欄が劣化して消えているが、1995年に製造された消火器であることが分かった。なんと自分より年上である。そして、消火器の表面はもちろん、噴射する上で重要な握る部分は特に錆や劣化が見られ使用できなさそうに見える。また、2階も同様の状態だった。
消火器の使用期限
食べ物に賞味期限や消費期限があるように、モノや道具、機械にも耐用年数や使用期限が存在する。消火器の場合は製造より10年(船舶用は8年、住宅用は5年)が設計基準使用期限とされている。10年を経過した製品は新品に交換または、耐圧性能点検(水圧試験)の実施を推奨している。また、期限内であっても屋外に設置したことによる錆や傷等がある製品も同様としている。
使用期限を過ぎた消火器の危険性
使用期限を過ぎた、或いは劣化が進んだ消火器は非常に危険である。消火器が破裂した事故の例として、平成21年9月15日大阪市に置いて男児が重症を負ったものや、平成25年6月20日宮城仙台市において、家庭用尾消火器を廃棄する際に操作したところ、消火器が破裂し70代男性が負傷した例も存在する。もし、火災を消火するときにこの破裂が発生した場合、操作者が負傷する可能性どころか初期消火が行えないという最悪なケースになりかねない。
誰が消火器を管理するのか
消火器を自前で購入し、自宅に1本置いているという方は購入者本人が管理・交換する必要があります。しかし、消防法(消防法第17条の3の3)により消防設備等を設置することが義務付けられている建物の関係者(所有者・管理者・占有者)は、設置した消防設備等を定期的に点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告する義務があります。
つまり、アパートの所有者である大家さんか管理会社に点検・報告義務が発生します。
詳しくは下記URL(pdf)をご覧ください。
https://www.chirika.co.jp/dcms_media/other/check_shoubosetsubi.pdf
皆さんに伝えたいこと
普段の生活において火災のリスクは存在しますが、それを防ぐための消火設備がもしもの時に使用できなかった場合、素早く初期消火が出来ずに自室どころか隣室や隣家に延焼する原因にもなりかねません。管理者だけでなく、居住者自身が消防設備を確認することが大切だと思いました。