要旨
東日本大震災により、東北地方の沿岸域に位置する自治体の被害は甚大であった。このような広域かつ巨大災害において、自治体が被災したすべての地域の復旧を迅速に実施することは極めて困難である。自然災害から自律的かつ効率的に回復するためには、被災地域のコミュニティがレジリエンスを有していることが重要となる。本研究では、災害時において様々な課題を解決し得る資源を有する企業に着目した。東日本大震災により被災した宮城県岩沼市・名取市に立地する様々な業種・小規模企業を含む1,020社の企業に郵送アンケートを送付し、回収率は39.22%であった。この結果を基に、単純集計、クロス集計およびロジスティック回帰モデルを用いてデータを解析した。これらの分析から得られた知見は以下の通りである。1.企業の32.75%が災害後に地域の復旧支援を実施していた。 2.実際に支援を実施した企業の割合は、支援をする意識を持つ企業の割合よりも低かった。 3.支援を実施する意識だけでなく、地域社会の効率的な復興を促進するための災害発生前から支援実施に関連する活動をしている企業が非常に強い相関が見られた。 4.支援の特徴は、特定の条件下で業種、場所、従業員数によって異なることが明らかになった。
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全文は『Sustainability, 10(6), 1717, doi:10.3390/su10061717』より読むことが可能です。
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