和歌山ブランドチェッカー

はじめに

みなさま、お久しぶりです。先日無事に卒業研究発表会を終えた山口です。 今回は、卒業研究で開発した「和歌山ブランドチェッカー」について紹介していきたいと思います。



研究のタイトル

和歌山ブランドチェッカーの開発と地域愛着形成効果に関する研究



研究の背景

まず、開発するに至った背景について、私の地元である和歌山県は長年にわたり人口減少を地域課題として取り上げています。2010年には近畿2府4県で唯一人口が100万人を下回りました。中でも、15歳〜29歳の若年層の流出が顕著となっています。この若者の地域離れの原因の一つとして、「地域ブランド力の低さ」、「地域の認知度の低さ」があげられると考えました。



地域ブランド力とは、地域そのものと地域資源が生活者の意識の中で繋がることです。例えば、「京都」といえば皆さん何を思い浮かべますか?「古い街並み」「舞妓さん」「抹茶」…などが浮かぶことでしょう。では「抹茶」といえばどこの県を思い浮かべますか?「京都」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。このように、地域そのものと地域資源が多くの人の意識の中で相互に連想されると「地域ブランド力が高い」と言え、地域の認知度向上に大きく貢献します。



しかし、和歌山県は関西の他地域に比べ、圧倒的に地域ブランド力、地域の認知度が低いと感じられ、地域資源と地域そのものが十分に結びついていない現状があります。また、和歌山は「近畿のお荷物」と揶揄されることがあり、これに対して県民は「和歌山何もないし、間違いないわ」と自虐ネタのようにされています。このように住民が和歌山の資源、魅力を認識できていない現状があり、地域ブランドを構築するにあたって、まずは住民側が発信すべき地域資源を認知するべきであると考えました。



研究の目的

上記背景を踏まえ本研究では、ユーザーが和歌山(地域)の魅力を考え認知するツールとして和歌山ブランドチェッカーを開発し、その効果を明らかにすることを目的として研究を進めていきました。



和歌山ブランドチェッカーの開発

地域の魅力を住民に認識してもらう方法として、行政などが一方的に情報を発信する方法では若者に響きにくいと感じました。そこで、自分の考えていたことが違うと指摘されると「何でやねん」とそのことについて深く考えてしまう、という私の体験を利用して「和歌山ブランドチェッカー」を開発しようと考えました。



これは、利用者が写真をアプロードすると、それが和歌山っぽいかどうかを判定するというものです。ここでの判定結果をあえて利用者が納得し得ない、「何でやねん」と思うようなものにすることで、「じゃあ和歌山らしさってなんやろ」と和歌山について“つい”考えてしまう、きっかけを作ります。
画面設計


背景色にはインスタグラムなどを連想させるグラデーションを選択し、シンプルな画面設計にしました。
表示例1


この表示例は和歌山県のパンダについてです。ここで選択しているのは和歌山県南部の白浜にある白浜アドベンチャーワールドのパンダの写真です。これに対する結果は「やっぱりパンダといえば上野ですよね!」というものです。



実は、白浜アドベンチャーワールドは本場の中国に次いでパンダの出頭数・飼育数共に世界2位となっています。しかしテレビで取り上げられるのは上野動物園のパンダばかり。家族や友人たちも「上野より白浜の方がパンダようさんおるのになあ。世間は上野ばっかりや。」とぼやいていました。



和歌山県民ならこの表示を見て「何でやねん!パンダといえば白浜やろ!」と言わずにはいられないのではないでしょうか。
表示例2


次の表示例は和歌山県のみかんについてです。ここで選択しているのは、和歌山県内でも有数のみかんの産地である有田地域のみかん畑の写真です。これに対する結果は「やっぱりみかんといえば愛媛ですよね!」というものです。



私が小学生の頃、社会科の授業でみかん生産量の順位が愛媛と和歌山で拮抗しているのを見て「愛媛には負けたく無いよな」と友人や先生と話をしたり、テレビで愛媛のみかんを取り上げているのを見ると、「有田みかん(和歌山県のみかんブランド)にしたらええのに」と家族で話をしていました。そのような経験から、この表示を見た和歌山県民は「何でやねん!みかんは愛媛より和歌山やろ!」と言わずにはいられないでしょう。私も制作しながら、「こんなこと言われたら嫌やな〜」と思っていました。



友人に見せると、案の定「何でやねん!バカにすんな!」と怒っていました。それだけでなく、和歌山の魅力は何かを自ら話し出しており、想像以上に興味深い反応が得られたのはとても嬉しいです。



制作を通して

私は大学進学で長岡に来るまで、「和歌山何もないし違うとこ行ってみたい」と思っていました。しかし実際に和歌山を出てから改めて地元の良さに気付き、以前よりも和歌山が大好きになり、隙があれば和歌山に帰ろうとするほどでした。



大学生活の最後に地元を研究することができ、とても楽しく充実した時間でした。研究に地元の友人達も協力してくださり、友人と和歌山について話し合うのは初めてだったのでとても新鮮でいい経験になりました。



みんな和歌山を好きになってくれ!とは全く言いません。この研究を通して、皆さんが少しでも和歌山に興味を持ってくだされば、和歌山ってこんなんあるんや〜と思っていただければ、幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。