Process Designing for Creative Well-being: How Cultural Prescribing Emerges Through Community-Based Art Practice at “Machino Zukoushitsu” in Nabari City, Japan

要旨

【背景・目的】
 高齢化社会において望まない孤独や社会的孤立が深刻化する中、Social Prescribing(社会的処方)は医療機関と地域資源を接続する支援モデルとして国際的に注目されてきた。しかし、その多くは医療主導型の制度枠組みの中で運用されており、個々人の内発的動機や能動的関与を十分に引き出すデザインには至っていない。そこで本研究では、地域の日常的な創造実践を起点として、個人の自発的関与からケアが自然発生的に立ち上がる可能性に着目した。三重県名張市のコミュニティアートスタジオ「まちの図工室」を対象に、Participatory Action Researchの枠組みにより2023–2025年の実践過程を分析し、文化的処方が制度的介入に依存せず、いかに立ち上がるのかを解明することを目的とした。

【結果・得られた示唆】
 実践分析の結果、文化的処方は制度的な紹介を介さずとも、地域の日常的な創造実践の中から自然に立ち上がることが確認された。概念図に示したように、中心にあるAuthenticityは創造とケアの源泉であり、そこからCreative Well-beingが駆動力として働く。創造、対話、学習、つながり、開くといった行為が循環することで関係が広がり、その循環がCultural Well-beingとして現れる。  Cultural Well-beingは、地域における共助とケアの生態系を活性化させる条件となり、身体的・精神的・社会的ウェルビーイングを支える基盤として機能する。さらに、この生態系は一方向的な帰結ではなく、成熟した関係環境そのものが個人の「自分らしさ」を刺激し、新たな創造的関与を生み出す契機ともなっていた。すなわち、本モデルは中心から外へ拡張する構造であると同時に、外側の環境が再び中心を活性化する再帰的循環を内包している。  ここで重要なのは、身体的・精神的・社会的ウェルビーイングを直接的な目的とすることではなく、創造と関係の循環が持続し続ける状態そのものである。本研究は、この双方向的な循環構造をNaturally Emergent Creative Well-being Modelとして提示し、文化的処方を制度的プログラムではなく、環境と個人が相互に生成し合う回路として再定義した。

掲載情報

タイトル:Process Designing for Creative Well-being:How Cultural Prescribing Emerges Through Community-Based Art Practice at “Machino Zukoushitsu” in Nabari City, Japan

著者:Rui Fukumoto, Takakazu Yamaguchi, Hideaki Kawabata, Sawako Inaniwa and Tatsuya Ito

掲載誌名:Proceedings of IASDR 2025: DESIGN NEXT(Track: Healthcare Design)

発行:International Association of Societies of Design Research

発行年:in Press

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この記事を書いた人

「コミュニティデザイン」、「都市防災・防災まちづくり」、「教育方法・教材開発」の分野における研究や実社会への適用を行っています。 特に、「災害から地域が自律的に復旧する仕組み」の実現に力を入れて取り組んでいます。

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