要旨
【背景・目的】
従来の防災教育では、脅威アピールに基づく手法が多く用いられてきたが、その効果は時間の経過とともに減衰することが指摘されている。防災教育の持続的効果を実現するためには、学習者が学んだ内容を他者との対話を通じて再確認する「学びの反芻」機会をいかに創出するかが重要である。
本研究では、内発的動機づけ(楽しさ)を基盤としたゲーミング手法として「防災トランプ」を活用し、小学校5年生を対象に一度限りの実践を行った上で、16か月間にわたる追跡調査を実施した。ゲーミングと対話が、防災教育効果の持続性にどのような影響を及ぼすかを検証することを目的とした。
【結果・得られた示唆】
分析の結果、児童は「怖い体験」よりも「楽しい体験」を他者に共有しやすい傾向が有意に認められた。また、防災トランプ実践後は、従来の避難訓練と比較して有意に高い対話的共有行動が確認された。さらに、「楽しさ」「学びの実感」「探求意欲」「再実践意欲」は実践直後に高い評価を示し、他の訓練よりも有意に高い水準を維持した。
一方で、全体としては時間経過とともに効果の減衰が見られたが、16か月間効果が持続した児童群では、教員や地域の大人との対話機会が多く、「怖いこと」についても他者に伝えられる傾向が有意に認められた。
これらの結果から、ゲーミングによる内発的動機づけは対話的共有行動を促進し、防災教育効果を持続させる可能性が示唆された。特に、学校や地域社会における継続的な対話環境の整備が、防災意識の長期的維持に重要であると考えられる。
掲載情報
タイトル:ゲーミングと対話による防災教育の持続効果~実践の楽しさがもたらす学びの反芻機会~
著者:福本塁
掲載誌名:防災教育学研究 5巻 2号 47-58ページ
発行:日本防災教育学会
発行年:2025年

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