NID防災すごろく

作品・提案の概要

私の提案する「NID防災すごろく」は主に、造形大生を対象としたすごろくで、指定されたマスにはそれぞれ防災について考えたり、みんなで話し合ったりする質問が設けられています。このすごろくをつくった理由としては、自身が大学内の防災への対応がよく分からないというところから始まりました。私のように、大学内で危険な箇所はあるけど、そこでの問題点をどう解決していけば、防災の対策になるのかがあまりよく分かっていない学生も多くいるのではないかと思い、一人でやるのではなく、みんなでやれるようなすごろくをつくりました。このすごろくは大学内の生徒たちがくつろいでいたりする場所に設け、いつでもこのすごろくを楽しんでもらえるようにします。数人でやれることで、自然とコミュニケーションができるため、防災の知識が増えていくだけでなく、大学での人とのつながりができ、共助の関係ができるのではないかと考えました。さらに、定期的なイベントにこのすごろくのイベントを企画することで、地域の人とも一緒にできます。その時は、大学内のすごろくでもいいですが、さらに範囲を広げた、私たちの住む地域の地図をもとにすごろくをつくってやれば、アパートにいる時や通学中の災害にも予防できると考えました。また、地域の人と一緒になってやることによって、地域の人とも共助の関係を築くこともできると思います。
この「NID防災すごろく」は1階~3階の階を主にルートをつくって、また、3階のコンピューター室から1階の正面玄関入口がゴールとしてつくりました。生徒がよく使う教室のマスにはそれぞれ質問が書かれているので、答えたり、考えたりします。そうすることで、自分なりの対策やみんなの意見が分かるため、防災についての知識も増えていきます。すごろくは先にゴールについた方が勝ちのゲームですが、今回提案するのは主として、大学内での防災についての知識を身に着けること・人とのつながりが目的なので、そこが実現するように今回考えました。

作品・提案のねらい

今回挙げた問題点を解決するために、まずは、楽しく防災について学べるように、ゲーム感覚であるすごろくにしました。そうすることで、一人でも多くの人がこの提案を利用し、防災にふれる人が多くなり、防災について考えていく人も増えていくのではないかと考えました。
また、今回提案するものに、大学の地図(平面図)を用いることで、災害時の逃げるルート(逃げ地図)を考え、覚えることができるので、大学の地図を使用しました。止まるマスは教室部分を主に質問を設け、その教室にもし、いて、緊急な災害が起きたらどうすればいいのか、事前にこのすごろくでやって知っておくことで、そのような事態になっても少しは時間を短めに対応できると考えました。
まずは、大学で提案を実施することで、造形大生が大学内の危険なところ・逃げる場所・するべき対応などを知ってもらい知識を身に着ける。そのような学生をたくさん増やし、少しでも防災に興味を持ってもらう。そして、防災の知識が増えた学生が、今度は範囲を広げ、地域の中の関連する提案をつくっていく。それを、地域の人に伝えて、一緒にやることで、地域全体で防災について考えてもらう。また、つながりが生まれ、災害時にはお互いを助け合う共助の関係を築くことができると考えました。

着想の経緯

空間安全論の授業の中で、大学内の危険な箇所について考える時に、自分の中で危険だなと思うところが意外と多くあったので、それを他の学生とも共有したい、伝えたいと考えたことをきっかけに今回「NID防災すごろく」をつくろうと思いました。でも、ただ、危険な箇所だけ知るだけでも意味がないので、その解決策としても、授業で学んだ逃げ地図などについても触れてみたら、緊急時にも自分もだけど、他の多くの学生も役に立つのではないかと思いました。
さらに、個人的に防災と聞くと少し堅苦しくて難しそうだという印象があったため、何か楽しく学べるがあったらいいなと考えたました。そこで、今までの記憶を辿ってみると、すごろくなどの複数の人数でゲームをやっているとき、家族や友達と一緒にやった時にコミュニケーションがあって、わいわいと楽しくやった思い出がありました。なので、防災というものを楽しく学べるためにゲームのようにしたいと考えました。人と積極的に話すことが苦手な私が、ゲームをしていたときに、みんなと仲良く話せたという経験もあったので、年代も問わず学べ、人とのつながりも増えるようなものをつくりたいと思い、このようなものをつくりました。

イメージ図


作者

高桑 江理

福本からの講評

防災すごろくは良くあるアイディアなのですが、体験談に基づいている点と、「NID版」のねらいをわかりやすくまとめられた点が評価できます。「自身が大学内の防災への対応がよく分からない」、「人と積極的に話すことが苦手」といった現場・当事者レベルの問題点について、「大学内の危険な箇所」、「わいわいと楽しくコミュニケーション」と自己の体験談に基づいて複数の素材を掛け合わせて一つの提案にまとめられたことは、この授業に限らず、問題や課題を自分事として捉えるという視点で良い経験になったのではないかと思います。建築を考えていく上でも、設計した構造物や空間には利用する人の行動や生活というものがセットとなり、その利用者の視点で行動や生活を考えることができた参考例の一つになると思います。是非、今後に活かして頂ければと思います。

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この記事を書いた人

「コミュニティデザイン」、「都市防災・防災まちづくり」、「教育方法・教材開発」の分野における研究や実社会への適用を行っています。 特に、「災害から地域が自律的に復旧する仕組み」の実現に力を入れて取り組んでいます。

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