公衆電話 親子シールラリー

作品・提案の概要

小学生とその親御さん向けに公衆電話を探すシールラリーを開催する。表が公衆電話マップ、裏がシールを貼る面のA4シートを配布。地域を歩いて回って、全部で8カ所公衆電話を見つけて、そこに設置されているシールをA4シートに貼っていく。8種類のシールを集め、かつ公衆電話を一人で掛けてみる体験講座を受けると公衆電話マスターに任命、テレホンカードが貰える。

作品・提案のねらい

「住んでいる地域の最寄りの公衆電話を楽しく確認してもらう」をコンセプトに、公衆電話マップを見ながら実際に現地を歩いて探して回るシールラリーを開催する。親子をターゲットにしたのは、小学生が公衆電話についてよく知らないこと、災害時・緊急時に安否確認をまず必要とするのは小さい子供を持つ家族だと思ったから。参加後も公衆電話に意識を持ってもらえるようにする。

着想の経緯

授業で輻輳という言葉を知り、災害時緊急時に有用な連絡手段は何だろうと調べてみると、公衆電話に辿り着いた。一方で、僕が初めて公衆電話を使用したのは中学生のとき(親の送迎)で、それまで使い方を知らなかったし、ましてやそんな重要な連絡ツールであるなど認識していなかった。むしろこんな古くさいものを使うのは恥ずかしいとすら思っていた。
小中学生でも一人で使えるように、また「時代遅れのモノ、過去の遺物」といったイメージを「災害時にも使える重要な連絡手段」というふうに変えることで、もしもの時も家族や地域間で安否をすぐ確認できる、防災に意識を持ってもらえるのでは無いかと考えました。手段として公衆電話の設置場所をマップだけで確認ではなく、実際に現地で確認してもらいたいという考えがあり、シールラリーというアイデアは、これも僕が子供の時、野外民族博物館リトルワールドに訪れた際にスタンプラリーを体験したことから来ています。スタンプ台を探すワクワク感や楽しさを、公衆電話を探すという一種の作業に流用できるのでは無いかと考えました。スタンプだと清掃が大変なのでシールにしました。

イメージ図


作者

伊藤 崇宙

福本からの講評

空間安全論の授業だけでなく、建築・環境CG実習で習得した技術をベースにしたことはとても良いと思います。通常、「成果物を流用する」ことには原則、厳しい評価が伴ったり、場合によっては不正とされる場合がありますので、コンペや課題の要項をよく確認し、それに該当しないよう注意してください。今回は、ソフトの提案として、自身が中学生時代に良くない印象を持っていた公衆電話を、良い印象を持っていたシールラリーと掛けあわせて提案し、それを実施するための「ベースマップ」として自身の成果を位置づけているので良い内容として捉えることができました。改善点としては、レポートに記載された「現状の問題点」として「小学生の約85%が(公衆電話の)使い方を知らない現状」と記載しているにもかかわらず、提案内容やスケッチにそれが含まれていないことでした。まずは公衆電話の存在を確認する提案として評価できますが、今後は使い方の理解を促すアイデアを含めるとさらに良い提案になると思います。

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この記事を書いた人

「コミュニティデザイン」、「都市防災・防災まちづくり」、「教育方法・教材開発」の分野における研究や実社会への適用を行っています。 特に、「災害から地域が自律的に復旧する仕組み」の実現に力を入れて取り組んでいます。

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