研究課題:都市の持続性に寄与する空き空間活用ゲームの開発と評価の進捗状況について




GOAL
研究目的

本研究は、人口減少および少子高齢化に直面し、戦後急速に拡大してきた都市空間の維持・管理が危ぶまれる地方都市を舞台として、住宅地や商業地で増加する空き家・空き地・空き部屋といった「空き空間」に着目し、「空き空間」の流動性を高める、あるいは「空き空間」の転用を促す方策などを試行することにより、「都市のサステナビリティ」に寄与する「空き空間活用ゲーム」を開発し、その効果を評価することを目的とします。


Education
空き空間リテラシーの向上

「空き空間活用ゲーム」を通じて、ユーザーは「空き空間リテラシー」を向上させ、身の回りの都市空間への関心やまちづくりへの参加が促進されると考えています。
上記リテラシーの要素としては、
  • 空き空間を身近な問題として捉える
  • 空き空間の活用方法を考える習慣をもつ
  • 空き空間の活用に不可欠な人と人とのつながりを理解する
  • 空き空間の活用事例を知る
  • 空き空間の活用を実践する
の5点を想定している。


Study Area
研究対象地


*村上市高根地区(中山間地)を中心とする村上市内


Media
地震被害と空き空間の活用について考える


※2019年6月18日22時22分に発生した山形県沖地震についてメディアにてコメントを助言したものになります。

※村上市高値地区の空き家解体→活用事例を紹介したものになります。



Schedule
計画内容及びスケジュール

1年目
  • STEP①
    空き空間活用ゲーム(アナログゲーム)の開発
    多様な世代が一度は遊んだことのあるカードゲームやボードゲームといったアナログゲームをベースとして、空き空間活用ゲームを開発し、空き空間問題への関心の導入を図る。具体的なゲームとしては、「人(ハート)・お金(ダイヤ)・環境(クローバー)・法制度(スペード)」の4つの絵柄との関連から「空き空間リテラシー」を学習できる「空き空間活用トランプ」や、住宅の建築をゴールではなくスタートとし、地域で空き家・空き地の承継・活用を目指す「空き家・空き地活用すごろく」などの開発を検討している。また、ゲームのコンテンツに「地域住民の協働により空き空間が流動した実事例」を取り入れることで、参加者の体験や考えを引き出し、地域住民間での対話と交流を促進する。
  • STEP②
    空き空間活用ゲームを用いた場づくりの実践
    開発したゲームを用いて、多様な世代が地域交流可能な場づくりの実践を行う。参加者には質問票を配布し、ゲーム実践前後での「空き空間リテラシー」の変化を明らかにする。また、必要に応じて場で発生した対話の詳細な分析や事後の行動を明らかにするインタビュー調査を実施する。
  • STEP③
    空き空間活用ゲームを用いた場づくりの担い手育成
    開発したゲームを用いた場づくりの実践を各地域で定着させ、「空き空間リテラシー」をより高めるために、「場づくりの担い手」を育成する。育成方針としては、「空き空間に関する知識の獲得」だけでなく、「ゲームの遊び方を正しく伝えること」および「場の参加者から体験談や考えを引き出す問いかけの実施」にも重点を置く。
  • STEP④
    空き空間活用ゲームの評価
    研究目的欄に記載した「空き空間リテラシー」の各要素について、ゲームの実践前後における効果やその要因を明らかにすることで評価を実施する。



2年目
  • STEP⑤
    実空間として存在する空き空間のVRコンテンツ化
    2年目は「空き空間リテラシーを高めるアナログゲーム」に「現実の空き空間」を結びつけるゲーム開発への拡張に挑戦する。対象都市は、新潟県村上市であり、360°カメラを用いて「現実の空き空間」や「活用されている元空き空間」を撮影し、VRコンテンツ化する。
  • STEP⑥
    空き空間活用VRゲームシステムの開発
    Unityをベースに空き空間VRコンテンツが閲覧可能なシステムを構築し、プレイヤーのアクションに応じて、「未活用空間」が「活用空間」へと確率的に変化する空き空間活用VRゲームを開発する。ゲームの開発にはoculus go等のVRヘッドセットを通じて利用可能な環境を用いる。
  • STEP⑦
    空き空間活用ゲームを用いた場における空き空間活用VRゲームの実践と評価
    ②で形成された場において、⑥で開発した空き空間活用VRゲームを用いた実践を導入し、ゲーム前後での「空き空間リテラシー」の変化を明らかにする。また、必要に応じて場で発生した対話の詳細な分析や事後の行動を明らかにするインタビュー調査を実施する。
  • STEP⑧
    空き空間活用ゲームの開発・実践・評価における成果発信
    ①~⑦において開発した空き空間活用のアナログゲームとVRゲームに関して、開発方法・実践方法・評価結果をまとめ、学術誌に成果を報告する。



Context
対象地域の文脈調査

調査協力団体

高根フロンティアクラブ


高根フロンティアクラブ
地縁団体
(高根地区)

はつめの家


はつめの家
古民家活用事例
(有明地区)

都岐沙羅パートナーズセンター


都岐沙羅パートナーズセンター
中間支援組織
(朝日地区)

村上市


村上市
市民課
(村上地区)



村上市空き家等対策計画(委員長:福本 塁)




空き空間活用事例(有明地区)



コミュニティの特徴(高根地区)

高根区の組織構成

高根区の組織との関わり(世代別)



高度経済成長前後の暮らしの変化




年間行事一覧(高根地区)

  • 1月
    正月
    • 01日:正月のお供え・元旦参り・切初め・一統礼
    • 02日:セヂ(節)に行く
    • 07日:七草粥
    • 10日すぎの日曜日:サイノカミ
    • 14日:鳥追い
    • 15日:小正月・ダンゴ木飾り
    • 正月中:年賀の祝(年祝)
  • 2月
    節分
    • 04日:節分
  • 3月
    行事
    • 01日:ツジョダンゴ
    • 15日:ネハン
    • 16日:山の神様・田の神様
    • 18日:春のお彼岸
  • 4月
    行事
    • 03日:三月節句
    • 08日:花祭り
  • 5月
    行事
    • 08日:薬師様・春神楽
  • 6月
    行事
    • 05日:五月節句・田植え(サツキ)・サナブリ
  • 7月
    行事
    • 14日:天王(テンノ)様・土用の丑の日
    • 23日:地蔵様
  • 8月
    行事
    • 07日:七日盆
    • 13日:迎え盆
    • 14日:盆踊り(青年団)
    • 15日:盆踊り(公民館・婦人会)
    • 16日:送り盆
    • 17・18日:道普請
    • 19日:ねうち・風祭
    • 20日:二十日盆
    • 26日:女の風祭
    • 27日:シマイ盆
  • 9月
    行事
    • 01日:八朔のついたち
    • 11日:くるみもぎ
    • 15日:十五夜
    • 23日:秋の彼岸の中日
  • 10月
    行事
    • 09日:九月節句
    • 27日:秋神楽
  • 11月
    行事
    • 10日:大根、カブのトシヤ
    • 16日:山の神様・田の神様
  • 12月
    行事
    • 01日:デエシコ様
    • 04日頃:古月払い
    • 08日:針供養
    • 14日:水神様
    • 21日:すすはきの日
    • 22日頃:冬至
    • 23日:デエシコ様
    • 25日:納豆ねせ
    • 28・30日:もちをつく日
    • 29日:九日もちをつかない日
    • 31日:大晦日・門松開き




Developments
空き空間活用ゲームの開発

対象地域の文脈を読み込み、状況を把握した上でその実態や関連知識を学習可能な以下のゲーム開発に取り組んでいます。
  • 空き空間活用すごろく
    → 「地方都市のサステナ」
  • 空き空間活用パズル&かるた&積み木
    → 「村上ぱるた(空き空間活用版)」
  • 空き空間活用トランプ
    → 「空き空間活用トランプ(名称はそのまま)」
  • 空き空間活用VRゲーム
    → Redirected walking技術を活用して検討中



空き空間活用すごろく「地方都市のサステナ」




概要
「地方都市のサステナ」はターン制のボードゲームで、サイコロを振り、タイルを配置し、持ちコマ(人)を使い様々なコインを獲得して「空き空間」をつくらないように地方都市を持続させるゲームです。



タイルパーツ・コインパーツ
都市の拡大期にランダムに獲得し、自由に配置できるタイルとタイルに人を配置することによりランダムに獲得できるコイン。




チャンスカード
都市の縮退期にコインを使用してボーナスを獲得できるカード。運が悪いと、ペナルティが発動することも・・・。




ゲームルール
「地方都市のサステナ」はターン制のゲームで、サイコロを振り、タイルを配置し、持ちコマ(人)を使い様々なコインを獲得して「空き空間」をつくらないように地方都市を持続させるゲームです。

はじめる前の準備

真ん中に「大都市圏」のタイルを配置し、プレイヤー人数に応じて(2人~6人、例は3人プレイ)スタート地点となる「地方都市」のタイルを「大都市圏」に隣接して配置します。
プレイヤー1人につき持ちコマ(人)を5人配ります。
ジャンケンで勝った人から時計回りの順番でプレイをしていきます。


ゲームの手順

プレイヤーは自分の番になったら以下の手順で進めます。
  1. サイコロを1回振り、出た目に応じてタイル(1:アパート,2:公民館,3:学校,4:露店,5:田畑,6:山林)を獲得します。
  2. 獲得したタイルは自身の地方都市タイルに接続するように配置します。
  3. 持ちコマをタイルに配置します。
  4. チャンスカードを獲得している場合はカードの使用を宣言するか決めます。
  5. サイコロを1回振り、出た目に応じたタイル(1:アパート・戸建て,2:公民館・市役所,3:学校・大学,4:露店・商店,5:田畑・果樹園,6:山林・里山)が配置されており、かつ持ちコマが配置されている場合、タイル1枚につきコインを1枚獲得します。
ただし、以下のような条件があります。
  • 1つのタイルには1つの持ちコマしか配置できません。
  • 人を配置していないタイルには「空きチップ」をタイルの上に配置します。
    配置していないターンが1ターンの場合は「空きチップ①」を、2ターンの場合は「空きチップ②」を配置します。
    人が新たに配置された場合は「空きチップ」を取り除くことができます。
  • 3ターン人を配置していないタイルは「空き空間」に変化します。
    空き空間に変化すると人を配置することができず、コインも獲得できません。
  • 3枚連続同じタイル(1:アパート,2:公民館,3:学校,4:露店,5:田畑,6:山林)が配置された場合、タイルが(1:戸建て,2:市役所,3:大学,4:商店,5:果樹園,6:里山)に変化し、チャンスカードを1枚獲得できます。
    また、人を配置した場合の獲得コイン数が2倍に増えます。
    他プレイヤーとの連結もカウントされます。
  • 7ターン目からプレイヤーは各ターンの開始時に持ちコマを1人大都市圏に置きます(大都市圏への流出が始まります)。
    ただし、持ちコマが2人の場合はそれ以上は減りません。
  • 11ターン目からプレイヤーは新たにタイルを獲得することができません。代わりに毎ターンチャンスカードを1枚獲得できます。プレイは手順3から開始します。



ゲームの手順イメージ




勝利・敗北条件
  • 15ターン 空き空間を3タイル未満に抑え都市を持続させることで勝利となります。
  • 空き空間が3タイル以上になるとそのプレイヤーはゲームオーバーとなります。



学習効果①
ゲームプレイ時に想定されるプレイヤーの心境変化

開発拡大期(1~6ターン目)

持ちコマ(人)が十分に存在し、地方都市が大きくなるためのパネルを獲得するために振るサイコロや配置を考えることにワクワクする。
(地方都市がつくられていく楽しさを実感する)

人口流出期(7~10ターン目)

できあがってきた地方都市からどんどん大都市圏に人が奪われていく…一方で都市の拡大は止まらない。
あちこちで空き空間が生まれ始めてその対処に追われ忙しさを感じる。
(人口流出による都市の維持に対する難しさを実感する)

衰退期(11~15ターン目)

空き空間がかなり出始めており、自作した愛着のある地方都市が衰退していることを感じる。
チャンスカードで人が増える体験をすると、感謝の気持ちが芽生え、人口が減る地域の住人の気持ちとしての「人が来てくれることの嬉しさ」に共感する。


学習効果②
空き空間リテラシーへの影響

以下の空き空間リテラシーの要素に対し、
  • 空き空間を身近な問題として捉える(効果が期待される)
  • 空き空間の活用方法を考える習慣をもつ(効果が期待される)
  • 空き空間の活用に不可欠な人と人とのつながりを理解する(効果が期待される)
  • 空き空間の活用事例を知る
  • 空き空間の活用を実践する



試作状況
試技はデジタル上でプレイしていますが、実際のボードゲームとして制作するためのタイル、コイン、持ちコマの厚み、大きさ、質感等を検討している段階で、11月下旬には1セットが完成する予定です。




空き空間活用パズル&かるた&積み木「村上ぱるた(空き空間活用版)」










空き空間活用トランプ





Future works
今後の作業予定

空き空間活用ゲームの改良・実践・評価

試作品を改良しつつ、実践の場を複数回実施し、プレイ中の発言、表情分析およびプレイ前後の変化を捉えるアンケートの分析を踏まえて学習効果の評価を実施する予定です。


空き空間活用VRゲームの開発

Redirected Walking技術の活用
触覚を利用して、実歩行を入力とした実空間とVR空間の認識差を活用し体験空間を実現する。




想定している体験会場
直径6m程のパネル空間を設置しVRゲームを実施。