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概要

トランプを楽しみながら長岡造形大の学生を対象に学科間をこえて防災について話し合い、各学科の危険や困りごとについて知ることができる場をつくることができるカードゲーム。52種類のトランプカードに長岡造形大学を題材にした特有の危険や困りごとがお題として記載されている防災トランプ。

学生の視点から、「長岡造形大学に入学した後、学科間の交流が少なく、各学科で何をやっているのかについて所属学科以外はほとんどわからない」という問題を解決するために造形学部プロダクトデザイン、視覚デザイン、美術工芸、建築・環境デザインの各学生らにより制作されました。

[memo title=”制作メンバー”]

  • 三浦 航哉 (学部2年 プロダクトデザイン学科)
  • 加藤 真依 (学部2年 視覚デザイン学科)
  • 遠藤 由季子 (学部2年 美術・工芸学科)
  • 新名 沙耶 (学部2年 建築・環境デザイン学科)
  • 中村 響 (学部2年 視覚デザイン学科)

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利用シーン



長岡造形大学の学生を対象に学科間をこえて防災について話し合い、各学科の危険や困りごとについて知ることができる場づくりを行いました。



「防災トランプ 長岡造形大学版」を制作した各学生の動機

  • 靴全般のデザイン関係の仕事に興味があり、「安全面」の機能もきちんと考える必要がある。防災トランプを使用して、危険や安全に対するユーザーの考えを引きだす方法として位置づけ、靴の安全や危険を考えるきっかけとしたい。
  • 社会問題をデザインで解決することに興味があり、人をつなぐ場づくりが可能なツールとして制作したい
  • ガラス工芸家を目指しているが、ガラス製品を販売する店に来店するお客様が安全に買い物できるように危険や安全管理に関するワークショップの開催が可能なツールとして制作したい
  • 地元の商店街はシャッターが閉じており、人も量販店やモールにしか行かず外に出ない。まちづくりに関係する職業について、地元の地域活性化に貢献したい。地域が活性化する、人と人をつなげられる方法として制作したい。
  • 描きこむ絵を描くことが好き、防災をお題に絵を描きこみたい。



まずは「防災トランプ」をやってみる



福本から語る必要はあまりない程の…、つまり楽しそうな写真が撮れました。

トランプを楽しみながら防災をテーマにお互いの体験談や考えを話せたようです。


制作過程について

以下、制作過程について記しておきます。

  • 要件定義:対象ともたらしたい変化
  • 簡易設計:題目(お題)の決め方
  • 試作
  • 本設計
  • 制作
  • 評価
  • 発表
  • 社会実践

今回の制作において、福本は助言のみに徹しており、制作工程は全て学生の考えと作業によって実施されました。


制作過程「要件定義:対象ともたらしたい変化」

最終版は対象を「長岡造形大学の学生」に決まりましたが、

「大学の来訪者」、「バイト先の人」、「長岡造形大学の先生」、「地域の人達」、「長岡市民」、「長岡市内のバス利用者」、「駅・電車利用者」、「リバーサイド千秋で買物をする人」等々…

当初は対象を誰にするのか?だけで「2時間以上」かけて議論しました。



対象の具体的な行動を整理しながら議論した例





決定案(対象ともたらしたい変化)




初のアイディア出しでは、「3~10案」とあまり出ませんでしたが、下記のアドバイスに従って実施したところ、「+7~+35案」と多くのアイディアを出すことができました。


アイディアが出せないときの出し方

「考え」を書くのではなく、「事実」を書く

  • アイディアが出しにくい考えを書く方法
  • 「防災意識を変化させたい対象は誰か?」

    →これではそんなに多くのアイディアは出しにくいですよね。


  • アイディアが出しやすい事実を書く方法
  • 「今週会った人は誰か?」

    →こちらであれば少なくとも会った人の数だけアイディアを出す事が可能です。会った人を具体的な対象として目的に沿ってプロファイルし直す方法で多くのアイディアを出すことができます。例を見てみましょう。


    例)「道端で見かけたおばあちゃん」

    おばあちゃんが「歩くのがゆっくりだった(事実)」とすれば、

    「混雑している場所が苦手な人(案)」といった案を出します。

    また、「帽子を被っていた(事実)」とすれば、

    「暑い日が苦手な人(案)」といった案を出す事ができます。



    制作過程「簡易設計:題目(お題)の決め方」

    トランプカードに記載する題目(お題)の決め方ですが、「4つのマークを活用するというのがスタンダードな方法になります。」と伝えたところ、学生側で以下のように設定したようです。




    各学科(プロダクトデザイン、視覚デザイン、美術・工芸、建築・環境デザイン)の制作メンバーが「身の回りの危険」に関する題材を調べ、考え整理したようです。






    案が重なったお題を「共通」としてJ~Kに分けたのは、初めてプレイする人にとっても直感的に種類の違いが分かる良いデザインとなっていると思います。


    お題を複数出すのは中々、頭を抱えるものですが、数を出すこと、調べること、話すこと等を通じて、各自がお題を10個程度ずつ出しました。
    出てきたお題を福本が読み、「例えば、具体的にどんな話なの?」といったやりとりを経て、お題の文章を推敲しました。

    制作過程「早速、試作」

    「とにかく一度簡易的なものでよいから試作して遊ぶと修正点が出るよ」と助言したところ、15分程度で試作して遊んでいました。(速い!)



    100円のトランプに各自でお題を書きこんでいく



    15分でとりあえず簡易試作したもの



    あれ、意外とおもしろい…?


    遊んでみた感想は…

    • 他学科の人の事を知ることや災害時の対策を立てられた時もあり有意義に過ごせた
    • 楽しかった
    • 意外に盛り上がった 他学科について知れておもしろい
    • ぱっと思いついたものだけでやったのにとても楽しくできたので、もっとしっかり考えてつくったらよりおもしろいものができそうだと思いました
    • 思ったより話せてよかった。他学科について知れたのが楽しかった。知り合い程度でも楽しめると思う



    改善案は…

    • 全種類の問題を考える
    • 詰まるカードもあったので、それについてもう少し練る
    • もっと学科の特色をとらえたものだとよりおもしろそうです
    • 軽くリード、うながす人が必要だと思った



    制作過程「本制作」



    改善案、修正点を踏まえてデザインをブラッシュアップし、本制作を実施しました。

    制作にあたり、配慮した知的財産について以下記しておきます。


    [memo title=”知的財産について”]
    防災トランプ 長岡造形大学版を制作する上で、配慮しなければならない知的財産は大きく2つありました。


    1つ目は「長岡造形大学のロゴ」です。

    こちらについては、大学事務側に使用途やその対象、影響範囲まで記入して利用申請を出し、承認を頂きました。

    わりと時間がかかった模様です。(他大学では6ヶ月かかることもあるとのこと)


    2つ目は「防災トランプの名称」です。

    こちらについては、福本が経営する株式会社ウイングベースの登録商標となっています。こうした登録がなされている場合、使用を避けることが無難ですが、実は、「防災トランプ」の登録商標は「防衛目的(使用できなくなることを防ぐ)」で取得しており、実際の利用は「クリエイティブコモンズ」で指定がなされています。

    「防災トランプ」の商標登録は名称が使用不可能な事態を防ぐための防衛的な登録であり、



    のライセンス下で使用することができます。

    具体的には、

  • 作品のクレジットを表示すること
  • 営利目的での利用をしないこと
  • 元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開すること

    を守って頂ければ「防災トランプ」の改変や、その配布等は行って構いません。

    地域版や場所や状況に特化したもの等、様々な「防災トランプ」が、
    世代をこえて防災について楽しく話し合う場づくりのシンボルとして活用されることを願っています。

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    制作過程「評価」



    長岡造形大学の食堂にて、制作メンバー以外の学生を募って、実際に制作した防災トランプを用いて遊んでみた後に意見や反応を伺ったとのこと。




    サンプル数は限られていますが、アンケートの結果を見る限り全て肯定的な意見をもらったようです。


    これにより、当初の目的である、「造形大学の学生」を対象に「防災の意識を向上すること」、「他学科について知ること」は達成できており、さらに、「楽しい時間を過ごす」ことも達成できていたようです。


    この集まった学生たち同士は仲良しの友達というわけではなく、どちらかと言うと「知り合いではない」に近い関係とのことでした。


    制作過程「発表」

    第三者の評価を踏まえて、長岡造形大学内で発表をしました。

    こうした発表の場があることは造形大ならではのような気がします。

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    発表の様子
    (パネル制作+体験コーナーの設置)
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    来場者の反応
    (楽しそうな様子でした)
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    発表したパネルイメージ



    制作過程「社会実践」

    制作品やパネルは9/16(土)~17(日)に開催される大学祭(第3アトリエ棟)にて展示される予定です。



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    Author of this article

    「コミュニティデザイン」、「都市防災・防災まちづくり」、「教育方法・教材開発」の分野における研究や実社会への適用を行っています。 特に、「災害から地域が自律的に復旧する仕組み」の実現に力を入れて取り組んでいます。

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