Abstract
本論文では、小学校の第6学年の児童54名を対象に防災を主題にした対話演習を通じて、児童の主体性の変化および学びの深まりについて調査した結果を報告した。主体性の変化については、段階的に主体性が引き出され、受動的な主体性が能動的な主体性へと変化する構造が対話演習の中に内包されていることで、児童の防災の行動意欲を示す表現に結びついていたと考えられた。防災分野の「深い学び」は、①身の回りの状況、②身に降りかかる危険や問題、③被害を受けない行動や対策、④被害を受けた場合の回復行動や対策の要素に整理され、調査結果より、①と②の要素は③の要素の前提条件になっていることが考えられた。①と②の要素が具体化されることで防災分野の深い学びに結びつきやすいと考えられた。④については、本報告の対話演習において確認されなかった。今後の課題として、「予防・回復の両観点から学びを深める授業を追加し、単元を拡張すること」、「年齢や地域性が異なる参加者を拡張すること」、「ゲームにおける対話演習のルールを予防・回復の両観点まで拡張すること」の有効性を検討することが望まれる。
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You can read the full text version in Japanese Journal of Environmental Education,27(3),15-22.
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