はじめに
はじめまして、福本研究室の大島です。
今回、私の卒業研究で制作した「ハザードブック」を紹介したいと思います。
洪水ハザードマップについて
突然ですが、皆さんは「洪水ハザードマップ」を見たことがありますか?
浸水想定区域が含まれている自治体では洪水ハザードマップが制作され、原則として全戸配布されています。しかし、「実際に見たことがある、活用したことがある人」は、とても少ないのではないでしょうか?もしかしたら、水害の経験や暮らしている地域の災害について関心が高い人は該当するかもしれません。実を言うと、私自身も福本研に配属され、卒業テーマとして選ぶまでに見た記憶がほとんどなく、実家に配布されていたことも知りませんでした。
私の出身地である、茨城県筑西市の洪水ハザードマップについて確認してみると、「情報が多すぎて、よくわからない!」という印象を受けました。人の命に関わることなので、情報はしまっておくよりも、オープンにするという意味では致し方ないと思いますが、あまりにもたくさんの情報が記載されているものでは、例え目にしたとしても、自分たちでその情報を読み取り、適切に理解できる人はあまりいないのではないでしょうか。また、地図上には浸水深や避難場所以外にも様々な施設情報が記載されています。私自身、特に驚いたのが「医療機関」について総合病院だけでなく、「眼科」、「耳鼻科」、「皮膚科」といった各クリニックの情報も記載されていました。災害時は常用している薬が処方されない等の問題もあることから重要な情報であることは間違いありませんが、このように記載される情報が多いとやはり、「自分がよくいる場所の危険性」や、「よくいる場所から最寄りの避難場所」、そしてそれらを結ぶ「避難経路」といった避難行動の具体化(福本 2016)に関する情報が読み取りにくいのではないかと思いました。
ハザードブックの制作
そこで、水害リスク情報の表現方法の改善について検討を行いました。
ハザードブックに至るまでに様々な表現方法を模索したのですが、今回は、必要最低限の情報量にし、まずは「読み取る情報の順序を学ぶことが重要」なのではないかと考え、ハザードマップの読み方を学ぶツールとして「ハザードブック」を制作しました。本市では、指定された避難所の多くが小中学校であるため、自分がよくいる場所の「最寄りの学校」を探し、周囲の「水害リスク情報」である浸水深を読み取ることを目的としました。ハザードブックで読み取り方を学び、その後、ハザードマップで必要な情報を読み取りやすくなるというものです。
ハザードブックの制作にあたり、透明度が高く、印刷することも可能で市販でも簡単に手に入れるOHPフィルムをレイヤーに用いました。そして、OHPフィルムに筑西市の地図情報を記載し、汚れを防ぐためにリフィルポケットに入れて、リングファイルに綴じました。また、自分のいる場所を効率よく探してもらうために、表紙には区分された地域にそれぞれにA-1,A-2,…と番号が振り分けられた地図を載せ、インデックスからその番号の地域を見ることができるようにしました。
おわりに
以上、ハザードブックの紹介でした。余談ですが、ハザードブック制作にあたり意外と費用がかかり、アイデアから実用化する大変さを感じましたが、今後さらに活用していけるように工夫を重ねていきたいと思います。