英語文献の読み方、整理の仕方

はじめに


修士2年の小川大樹です。
突然ですが、この世界には皆さんが現在取り組んでいる研究に関連する文献・資料が数え切れないほどあります。(敢えて断言します。)
日本の文献だけでなく、世界の文献に目を通すことが出来れば、より多くの知見を得ることができ、ご自身の研究をより良いものにすることができるでしょう。
今回は、英語があまり得意ではない人向けの英語文献の読み方、整理の仕方について紹介したいと思います(ちなみに、僕は英語が不得意です)。


1. 英語文献の見つけ方

まずは、ご自身の研究に関連する英語文献を探す作業です。

はじめに、検索を行う前に、ご自身の研究のキーワードを抽出しましょう。
例えば、僕の修士研究「愛着の形成要因に基づく水環境保全方策に関する研究 -福島潟周辺の地域住民の生活に着目して-」のキーワードは「愛着」「形成要因」「水環境保全」「福島潟」「地域住民」などです。これは、ご自身の研究で何に重きを置いて調査・分析を実施するかを考慮し、適切なキーワードを抽出する必要があります。

キーワードを抽出したら、次は検索エンジンを利用して抽出したキーワードを英語に翻訳した上で、検索してみます。
英語文献の検索には「Google Scholar」を利用します。Google Scholarとは、簡単にいうと皆さんに馴染みのある「Google」の 学術資料(論文・書籍など)専用の検索エンジンです。
検索の際には、キーワード同士をうまく組み合わせることが重要です。例えば、上記のキーワード(「愛着」「形成要因」「水環境保全」「福島潟」「地域住民」)を全て入れて検索しても、関連する研究はほとんど出てこないですが、「愛着」と「形成要因」や「愛着」と「地域住民」などの検索結果では多くの文献が出てくると思います。
これに関しては、様々なパターンをひたすら検索し、多くの文献を見つけられるようにする必要があると思います。

また、検索結果から自身の研究に関連する文献を見つける際に着目して欲しい点が「被引用文献」の数です。
被引用文献とは、他の文献に引用されている文献という意味であり、他の文献に多く引用されている文献は信頼性が高く、その分野において基礎となる文献である場合が多いため、被引用文献の数が多い文献を参考にすると良いと思います。

上記の内容は英語文献の検索に関して記述しましたが、基本的には日本語文献を探す際にも共通している点が多いと思います。


2. 翻訳

ご自身の研究に関連する英語文献を見つけたら、それを理解するために本文を翻訳する必要があります。
僕は英語文献の翻訳にGoogle 翻訳を利用しています。

その際、翻訳していく中で僕が特に感じたのが「Google 翻訳を信じすぎない」ということです。

例えば、僕の経験談でいうと、僕の修士研究「愛着の形成要因に基づく水環境保全方策に関する研究 -福島潟周辺の地域住民の生活に着目して-」のキーワードである「愛着」は英語で「attachment」です。しかし、「attachment」には「取り付け」という意味も含まれます。
そのため、「The relation between place attachment and pro-environmental behavior is unclear. 」という文章をGoogle 翻訳にかけると、「場所の取り付けと環境保護行動との関係は不明である。」という訳になってしまいました。
このような誤訳を防ぎ、英語文献の内容をきちんと理解するためには、少なくともご自身の研究のキーワード(僕でいう「愛着(attachment)」)の翻訳結果は念入りにチェックする必要があると思います。


3. 整理

レビューマトリクス例


英語文献を翻訳し、内容を理解し終えたら、次には読んだ英語文献を整理しましょう。

英語文献の整理にはレビューマトリクスを作成します。
英語文献のレビューマトリクスは、基本的には日本語文献を整理する際と同じで研究タイトル・著者・目的・研究方法・成果などを整理します。

以下、僕が作成した英語文献のレビューマトリクスの例です。
この場合は、「愛着の形成」に関して「どのような研究が行われているのか」、また「どのようなことが明らかにされていないのか」を明確にするために、主に「A:明らかになったこと」と「B:限界点、課題」について整理しています。この辺りは自分が何を知るために英語文献を調べるかを明確にし、レビューマトリクスの項目(列)を増やしていくと良いと思います。
また、上記のようにGoogle 翻訳の翻訳結果は必ずしも正しいとは限らないため、後でどの文章がどの翻訳結果か分かるように本文と翻訳結果を並べて書くと良いかもしれません。


4. おわりに

以上、僕が英語文献を調べる際の「英語文献の読み方、整理の仕方」でした。 よければ参考にしてみてください。